霊安室

ご家族が亡くなられた際、「霊安室」という言葉を耳にすることがあります。
安置施設と似た印象を持たれがちですが、実は役割や使われ方には違いがあります。

霊安室とは

霊安室とは、病院や施設などに設けられた、ご遺体を一時的にお預かりするための部屋です。主に、医師による死亡確認後から、寝台車で次の安置場所へ移動するまでの短時間に利用されます。あくまで「一時的な安置場所」であり、長時間の利用はできないケースがほとんどです。

安置施設との違い

霊安室と安置施設は、どちらもご遺体をお預かりする場所ですが、役割が異なります。

● 霊安室
・病院や施設などにある
・利用できるのは短時間(数時間程度が一般的)
・火葬や葬儀までの安置はできない
・次の搬送先を決めるための「待機場所」

● 安置施設
・葬儀社や斎場が管理する施設
・数日〜数週間の安置が可能
・ご面会や付き添いができる場合もある
・葬儀まで故人をお預かりする場所

そのため、霊安室を出たあとは、
自宅・安置施設・葬儀会館など、必ず搬送先を決める必要があります。

霊安室使用時の注意点

● 長時間の利用はできない
霊安室は、病院の運営上、長く使用できない場合がほとんどです。
「少し考えてから決めよう」と思っていても、
数時間以内に搬送先の判断を求められることが多いのが現実です。

● 搬送先を事前に決めていないと慌てやすい
突然の出来事の中で、「どこに安置するのか」「どの葬儀社に連絡するのか」をその場で判断するのは、とても大きな負担になります。
焦って決めてしまい、「本当は別の葬儀社を検討したかった」と後悔される方も少なくありません。

● 病院紹介の葬儀社を利用する場合の注意
葬儀社が決まっていない場合、病院から紹介された葬儀社に「搬送のみ」を依頼することも可能です。
ただしこの際、「今回は搬送のみをお願いしたい」という意思をはっきり伝えることが重要です。
これを伝えないまま依頼すると、そのまま葬儀まで同じ葬儀社で進む流れになる可能性があります。

焦らないために大切な事

霊安室での判断は、時間的にも精神的にも余裕がありません。
だからこそ、
・事前に安置先の選択肢を知っておく
・信頼できる葬儀社をあらかじめ調べておく
・事前相談をしておく

こうした準備が、いざという時の安心につながります。

事前相談は、契約を前提とするものではありません。「もしもの時、どうすればいいか」を知っておくだけでも、慌てずに判断できるようになります。

まとめ

突然の別れの中で冷静な判断をするのは難しいもの。
だからこそ、安置先や葬儀社についてあらかじめ知っておくことは、気持ちに少しの余裕をもたらしてくれます。

故人と向き合う時間を守るためにも、早めの情報収集や事前相談を心に留めておくと安心です。