りん

仏壇や葬儀の場で聞こえてくる “チーン” という澄んだ音──それを鳴らしている仏具が「りん(おりん)」です。
小さな道具ですが、意味や使われ方には深い伝統と役割があります。

りんの音に込められた意味

りんは、金属製の器をりん棒でやさしく叩いて音を鳴らす仏具で、仏教では「梵音具(ぼんおんぐ)」と呼ばれます。りんの音には、さまざまな意味があります。

  • 仏さまをお呼びする音
    お参りのはじめに鳴らすことで、「これから手を合わせます」という合図になります。
  • 場を清める音
    澄んだ音が空間を浄め、心を落ち着かせてくれるとされています。
  • 感謝を伝える音
    お参りを終えるときに鳴らすことで、「ありがとうございました」という感謝の気持ちを届ける意味があります。

葬儀や法要の場でも、僧侶が読経の合図としてりんを鳴らし、式全体の流れを整える大切な役割を果たしています。

りんの種類と使い方

りんには大きさや素材、音色などさまざまな種類があります。

  • 素材:真鍮(しんちゅう)や佐波理(さはり)、金属合金など。素材によって音の高さや余韻が変わります。
  • 大きさ:仏壇のサイズに合わせて選びましょう。家庭用なら小さめ、葬儀会場や寺院では大きめが使われます。
  • 音色:高めで澄んだ音、低めで落ち着いた音などがあります。実際に音を確かめて選ぶのがおすすめです。

また、宗派や地域によって配置や使い方が異なることもあるため、菩提寺や仏具店に相談して選ぶと安心です。

まとめ

りんは、仏さまへの祈りを届け、心を静めるための音を奏でる大切な仏具です。
その澄んだ音には、場を清める力だけでなく、故人やご先祖さまへの感謝の想いが込められています。

お葬式でも日々のお参りでも、「チーン」という音に耳を澄ませるひとときは、
忙しい日常の中で心を整え、やさしい気持ちを取り戻す時間となるでしょう。