香典
香典とは、もともと「香奠(こうでん)」と書き、お線香やお香をお供えするという意味がありました。昔は、お香をたむけたり、お花や食べ物、米などを持ち寄ることが一般的でした。
やがて、金銭を包む形が広まり、明治時代以降は都市部で金銭の香典が主流となりました。
地方でも大正〜昭和にかけて、徐々にお米などからお金へと変わっていき、現代では「現金で渡す香典」が一般的な形となっています。
香典を包む袋
香典は、「不祝儀袋(ふしゅうぎぶくろ)」に入れてお渡しします。袋の選び方に迷ったときは、次のポイントを押さえると安心です
■ 仏教の場合
- 四十九日まで:御霊前(ごれいぜん)
- 四十九日以降:御仏前(ごぶつぜん)
※ただし、浄土真宗では「御仏前」が最初から正しいとされています。
■ キリスト教の場合
- カトリック:「御花料」
※御霊前でも可(日本の慣習として許容されることが多い) - プロテスタント:御霊前は避け、「御花料」が一般的
■ 神道の場合
- 「御玉串料(おたまぐしりょう)」「御榊料(おさかきりょう)」など
宗教が分からないとき、迷ったときは、「御香典」「御香料」などの表現を使うと無難です。これらは宗派を問わず使える中立的な表書きとされています。
渡すタイミング
香典は、受付で記帳後に袱紗(ふくさ)から取り出し、表書きが相手から読める向きに整えて両手でお渡しします。「このたびはご愁傷さまでございます」と、静かに一言添えると丁寧な印象になります。
まとめ
香典は、故人への感謝の気持ちと、ご遺族への思いやりや悲しみに寄り添う気持ちを形にしたものです。マナーにとらわれすぎず、「故人を偲び、ご遺族を思いやる心」を大切にしていただければ、それだけで十分立派なお悔やみとなるのではないでしょうか。